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幼いころのお話。

私の家には母が和裁の先生をしていたため、住み込みのお弟子さんがたくさんいた。
12月はお正月に向けての着物の依頼が多く、書き入れ時(かきいれどき)となる。
大晦日までお弟子さんは徹夜で仕事をこなし、大晦日当日の終電ギリギリに各自実家へと帰っていった。
そのため、年末は毎日出前のメニューが続く。
ラーメン、チャーハン、カレー、ときにはお寿司といったメニューのローテーション……。
さすがに、毎日が出前だと飽きてくる。

そんな忙しさを知ってなのか、お弟子さんの親からはお歳暮という名目で差し入れが届いた。
ミカンやリンゴ、お米やうどん、そば、たらこやすじこのほか、イカや毛ガニなども届いていた。
毛ガニは日持ちがしないので早めに食べなければならない。大量に送られた日は、部屋中に新聞紙を敷き詰め、
「はい、今日のご飯!」
と、母が毛ガニをまるごとひとつづつ、一人ひとりに手渡す。
普通なら喜ぶところなのだが、幼い私にはそれが何より嫌だった。なぜなら、最初は食べると美味しいと思えたのだが、それが毎日続くとさすがに嫌になる。
毛ガニを食べ過ぎて、手は臭くなり、体中から毛が生えてきそうな気分になった。
そんなことがあって、私は毛ガニが嫌いになってしまった。

なんでもそうだが、美味しいものは適量がいちばんである!

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