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離婚した頃の私は、一人暮らしが初めてだった。
生活していくために、フリーターとして三つの仕事を掛け持ちした。
誰にも頼ることができず、安定しない職だったために不安だらけの毎日だった。

朝から晩まで休みなく働いていたから、家は眠れたらそれでよかった。
そのため、4階建ての1階のワンルームで、理由はわからないが格安の物件に私は住むことにした。
集合玄関入口は少し薄暗かったが、自動で点灯する。部屋はオートロックで、中はリノベーションされてきれいだった。

引っ越しを済ませて生活が始まると、帰宅はいつも夜中だ。
そんな毎日を過ごしていると、過労で倒れた。
病院へ運ばれ、数日安静と指示された。しかたなく自宅で療養していると、仕事が気になり眠れない。
夕方になって、窓の外に人影が見えた。
—— 幽霊? それとも人間?
気になりつつも、不調の体で動けず、そのままでいると、いつしか眠りについてしまった。

気づくと朝になっていて、いくらか体調が戻っていたので、働きに行く準備をする。
外に出ると、隣のクリーニング店のおばさんに出会った。
「こんにちは!」
「はい、こんにちは。あなた見かけたことないけどここに住んでるの?」
「はい、ここに住んでます」
部屋を指差すとおばさんの顔色が変わった。
「この部屋?」
「はい、1階のこの部屋です」
「あ、そ、そう……。気をつけてね。じゃ!」
そう言い残して行ってしまった。
—— 何を気をつけるの?
仕事があるので、呼び止めもせずに急いで出掛けた。

(つづく)

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