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2度目の結婚で見知らぬ土地に住むことになった。夫の実家が新潟だったのだ。
知っている人が誰もいない田舎で暮らす。
田舎ではお店が遠い。私は車の運転ができなかったため、夫がいないと買い物ひとつできなかった。知り合いもいないので出掛けることすらない。
ずっと家にこもっていると、少しノイローゼ気味になってきた。
私は外に出ることを考え始めた。
—— そうだ、お墓参りに行こう。
墓地というと山や海など少し離れた場所にあるイメージだが、なぜか夫の先祖のお墓は街の中にあった。車がなくともいつでも行けたのである。

私は線香とお花を持ってお墓に向かう。
近くのお寺の前を横切り、小さな公園を通り抜ける。公園で女の子がひとりでブランコに乗っているのを見かけた。
—— こんなところでひとりで遊んでるんだ……。
お墓に到着すると、お花を供え、ロウソクを立てて火を点ける。
—— あら、火が点かない!
風がないのに、まったく火を点けることができなかった。小さな墓地には誰もいない。
—— おかしいなぁ~。どうしよう。
夏の暑さで体が悲鳴を上げる。木陰もない場所で私は悪戦苦闘した。
しかたなく直接、線香に火を点ける。しかし、それも点いてすぐ消えてしまう。
少しイライラしながら悪戦苦闘が続く。

突然、何か気配を感じた。後ろに誰かがいる。
―― うわっ!!
お墓とお墓の間からおばあさんがこちらを見ていたのだ!
おばあさんは、何も言わず手を伸ばし火を差し出した。
驚きながらも私はその火をいただく。
—— よかった。火が点いた。
お礼を言おうと振り返ったがもう誰もいなかった。
—— 真っ昼間なのに……。霊か……。
とりあえず、お参りをして帰ることにした。

来た道を戻り公園を通ると、あの女の子がまだブランコで遊んでいた。
—— こんな暗い公園で、ひとりで寂しくないのかな?
そんなことを考えていると雨がぽつりぽつり。傘がないので慌てて寺の軒下で雨宿り。
—— 急に降り出すんだもん。すぐやむかな?
空を見上げて考えていると、ブランコで雨の中、まだ遊んでいる女の子が目に入る。
—— あの子まだ遊んでる。ぬれるのに大丈夫なの? あっ!! あの子、ぬれていない。
その女の子は霊体だったのだ。
1日に連続して2体の霊体に遭遇した。しかもまったく怖くないといった世にも奇妙な物語。
私は、振り返ることなく急いで家へと帰った。

(つづく)

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