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まだ学生の頃、近所に突如できたお店があった。
その名も「激安堂」。
名前のとおり、どこから仕入れたかわからないような商品が段ボール箱に詰められたまま、陳列されることなく売られていた。
私はこの変な店が好きで、何があるかわからない店内でワクワクしながら段ボール箱をかき分けて商品を物色した。
傘、雨がっぱ、靴下、ハンカチ、文房具、ペットフード、鍋、キャンプ用品など、さまざまなものがある。店名のとおり、かなり激安だが正直いらないものが多い(笑)
乱雑に積み上げられた段ボール箱は子供の遊び場としても面白かった。
崩れ落ちそうな段ボール箱をくぐり抜けながら商品を探していると、目の前に段ボール箱が落ちてきた。
―― やばっ。
元に戻そうと焦っていると、向こう側からもだれかが戻そうとしている人がいることに気づく。
「手伝っていただいてすみません」と声をかける。
無言で片付けてくれる人にお礼を言うと、父だった。
お互い苦笑いでその日は何も買わずに別々に帰った。
思い返せば、父も激安堂がかなり好きだったようだ!

急にできたお店だからか、閉店もこれまた急だった。
子供の私には閉店理由はわからないが、とても寂しかったことを覚えている。
そして、私と同じくらい落ち込んでいた父もいた。
何も言わない父だが、閉店になる直前に父は買えるだけ買いこんできた。
少しでも売り上げ貢献すれば閉店にならないと思ったのだろう。
しかし、そんなに甘くない激安堂は閉店してしまった。

我が家ではあまり必要ではない品物があふれた。
案の定、母は文句を言っている。
父は小さな声で「使うから、いいだろ……」とぶつぶつ、つぶやいていた。

―― あれ? 激安堂って、もしかすると……。
「驚安の殿堂ドン・キホーテ」になったのかもしれないね。

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