
昔、勤めていた会社の上司が、回らない寿司屋に連れていってくれた。
恥ずかしながら、今まで回らない寿司屋に縁がないというか、出前か回転寿司しか行ったことがなかった。
だから、カウンター越しの注文には超緊張した!
実は私、高級なものがあまり好きじゃない。
特にカニが嫌いだ。以前は食べられたのだが、宇宙人になにかを体に入れられた体験(病院にもかかったし、傷跡も残っている)で、入れられた虫にとても似ていて、それから食べられなくなってしまった。
好きなのはサバ。そしてガリ(笑)
これでは寿司屋に申し訳ない。
今回、連れられてきた寿司屋は、上司が常連のようで、慣れた注文で次々と寿司を握ってくれた。
それも絶妙なタイミングでである。メニュー以外のものも出てきた。
初めて見る光景に驚くばかり。
寿司職人は気を使って私にも話しかけてくれた。
なんと私と同じ歳だという。親近感が湧いた。
――あれ? なんだろう?
寿司職人の背中に黒い影が見えた。
――気のせいかな?
食べ終わると、影のことは話すことなく、お開きとなった。
数日後、慌てて上司が私に近づいてきて、
「あの寿司職人、死んじゃったよ!」
――えええ~っ!
寿司職人はすでに胃がんだったらしく、若さからあっという間だったという。
やはり、私が見たあの黒い影は、お知らせだったのかもしれない。
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