
父方の祖父母の法事での出来事だった。
法事としては最後となるので、親戚一同が寺に集まっている。
めったに会うことがない親戚が多い。話は盛り上がることなく、無事に法事を終えた。
記念にとみんなで集合写真を撮ることになった。
並びながら、私はこんなことを思っていた。
—— 祖父母は父が若い頃に他界してるからよく知らないけど、本当にこれで最後の集まりかもしれない。父のきょうだいはすでに2人が他界しているから、この写真も親戚全員じゃないんだよね……。
「では、みなさん、写真撮ります!」
写真屋の声に一瞬緊張した。
数日後、写真が届けられ、両親が見ていたので私も見せてもらった。
「あれ? これ誰?」
知らない男性がいちばん後ろに立っていた。
「え、どれ?」
「ここ、このいちばん後ろ!」
「あ、これね。お兄さんじゃない?」当たり前のように母が言う。
「お兄さんじゃないって、お兄さん何年も前に死んでるでしょ!」
「え? どれ? なに言ってるの、これは人じゃないわ……」
写っていることを認めようとしない母。
父が横から入ってきて写真を眺める。
「あ、これは兄貴だな」
「そうだよね。お父さんそっくりだから伯父さんだよね」
「ちょっと、あんたたち気持ち悪いこと言わないで!」母はそう言い残すと席を立った。
確かに、不自然に写り込む霊の写真は気持ちが悪い。
でも、きっと最後の集合写真に伯父も参加したのだろう。
その時の写真は今でも私のところにあるのだが、公開するのはあまりいいものではないのでやめておく(笑)
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