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私が生まれた頃のことを思い出してみた。
とはいえ、生まれたときのことなので思い出すというよりも親から聞いた話というほうが正確だろう。

二階建ての二軒長屋。台所と洗面所を挟んで隣同士がつながるという、いかにも昭和な建築。
その半分の家に父と母、母の祖母、そして私と姉と弟という6人家族。
まあ、ここまでは普通の家庭なのだが、それに加えて2人の弟子が住み込みで働いていた。
一階の居間は母の仕事場でもあり、和裁で使う大きなバイタン(場板、和裁用の木のテーブル)が陣取っていた。
二階は四畳半の部屋がふたつあり、ひとつは弟子2人が使い、もうひとつは祖母と姉が使っていた。
両親と私と弟は部屋がないので、部屋とは言えない屋根裏部屋で寝ていたらしい。
こんな狭い長屋に合計8名の大所帯。今では考えられない生活だ。

冬の寒い日、幼い私は顔が冷たくて母を起こした。
「お顔が冷たいの……」
母は何も言わず、やさしく私の顔の雪を払ってくれた。
壁の隙間から雪が入ってくるようなところで寝ていたからだ。

生前の母は笑いながらよくこの話をしていたが、私にとっては笑い事じゃない。
—— まちがえば、凍死してるじゃん!
母がこの話を好んでしていた理由が未だにわからない。
ただの時代の流れの話なのか。それとも思い出話なのか。貧乏だった苦労話だったのか……。
もしかすると、すでに私はその時死んでいたとでも伝えたかったのだろうか?(笑)

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