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約10年くらい前、あるショッピングセンターでのお話……。

そこではブティックをはじめ、靴店、ジュエリーショップ、メガネ屋など何店舗ものテナントが入っていた。
特に用事があったわけでもなかったが、私はそこへ訪れた。
―― せっかく来たのだから何か買っていこうかな?
1階にあるドラッグストアで買い物をすると、なにやら1枚のカードをくれた。
「なんですか?」
「いま、ここでスタンプラリーやってまして、5つスタンプたまると1回福引がひけます」

―― へぇ~! スタンプ1個もらったから、あと4個か……。えっ? 今日、最終日? しかもあと数時間しかない!
仕方なくあきらめて帰ろうとすると、
「こんにちは!」
後ろから声をかけられた。振り返ると、このショッピングセンターに入っているブティックのオーナーだった。
「こ、こんにちは!」
「買い物ですか?」
オーナーは私が持っていたカードを見て、
「それ、もう今日で終わるんですよね。あと数時間で終わっちゃいますね……」
「スタンプひとつなので、あきらめて帰るところです」
オーナーは私を自分の店へと誘い入れた。
「いつも買っていただいてるので、スタンプつけてあげますよ。そのかわりもしも当たったら半分下さいね。ははは」
そういうと残りの4つのスタンプをつけてカードを私に渡してきた。
「わかりました。当たったら半分あげますね」
お互い当たるはずもないと思い軽い気持ちで笑い合う。

残り時間が少ないので、急いで福引会場へと向かった。
―― 1回か……。当たりますように!
ゆっくりと福引を回す。
カラン、カラン、コロン、コロ、コロ……。
―― 金色か……、えっ、金色?!

「一等おめでとうございます。一等の商品はニンテンドーDSです!

―― やった!! 一等だ!
その当時、ニンテンドーDSは人気でなかなか手に入らなかった。

喜んでいると、後ろから声をかけられた。
「おめでとう! 一等当たったんだね。じゃ半分もらおうかなっ!」
声をかけてきたのはさきほどのブティックのオーナーだ。
「あ、あの、半分は無理かと……」
「わかってるって! 冗談だよ。ハハハ……」
福引担当のお姉さんもつられて笑いながら、ニンテンドーDSをていねいに手渡してきた。

〈福引って、本当に当たり入ってるんだ……。数日間やってるのに当たるの初めて見た! なんで今まで出なかったんだろ? 最終日に当たるようにできてるのかな?〉

「えっ? 今、なにか言いました?」
「えっ? なにも……」

たしかに、口は動いていなかった。
私はお姉さんの心の声を読み取ってしまった。
苦笑いでニンテンドーDSをもらい急いで帰った。

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