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お盆も近いので葬儀のお話。

数年前、義理の兄のお父さんが亡くなり葬儀に参列した。
葬儀会場にはほとんど知らない人ばかり。会場へ入って葬儀が始まるのを待っていると、入口で女の人が丁寧に何度も頭を下げているのを見かけた。
—— あれ、あの人……。亡くなった人の奥さんだ! でも、あれ? 数年前に亡くなってたはず……。
そう、私が見ていたのは亡くなった女性だったのです。

「どした?」急に姉が私に聞いてきた。
「あそこで、頭下げてる女の人見える?」
「どこ? 見えないよ!」
「そうだよね……」
何度も何度も頭を下げているのだが、もちろん周りにはその姿が見えない。
生前から腰が低くて優しい人で、生きていた時とまったく変わらない。

—— でも、なんで来てるのだろう? そうか、奥さんは旦那さんを迎えに来たんだ!
そう確信したとき奥さんは消えた。

お坊さんが入ってきた。お経が唱えられ葬儀が始まる。
—— ところで死んだ本人はどこへ行った?
集中して探すもどこにもいない。いないのであきらめていたら、さっきの奥さんが戻ってきた。
—— もしかすると旦那さんもいるかも?
私は再び集中する。
—— あっ、いた!
旦那さんは祭壇のところでウロウロしていた。
私は心の中で話しかけてみることにした。
—— あなたはもう死んだんですよ。わかりますか?
〈え、俺はまだ死んでいない。家に帰る〉
—— 今、まさにあなたの葬儀が行われています。あなたの葬儀ですよ!
〈何言ってるんだ! 縁起でもない。俺は死んでいない! 病院に帰る!〉
—— あなたは死んでいるから、もうどこも悪くないでしょ。
〈何言ってるんだ! 俺は耳が遠いから聞こえない! 何も聞こえない!〉
確かに生前耳が遠くて補聴器をつけていたらしいのだが……。
—— しっかり聞こえてるじゃん!

それから何度も話しかけたのだが、まったく聞く耳を持たず、あきらめて身内から言ってもらうことにした。
今までの事情を姉夫婦に説明し説得をするように言う。
「私見えないし、わからないよ!」
「大丈夫、死んだ人は私たちが心で思ったことはすべてお見通しなので、姿は分からなくともちゃんと聞いてるから、死んだことを教えてあげて!」
姉夫婦は心の中で説得をする。
そのまま葬儀が無事終わり、成仏したかを確かめるが、まったく聞く耳を持っていなかった。
—— 補聴器必要なのか?(笑)
〈なんで俺だけいかねばならないんだ! みんな先祖もここにいるだろう〉
確かに、親戚先祖たちはそこに留まっていた。本人はそれでそこに留まりたいらしい。
—— それでいいの? 腑に落ちないのだが、よく考えてみると確かに知らない人から「成仏しなさい」と言われても困るだろう。それはそれでいいのかもしれない。

肉体がないだけで基本的には何も変わらない。受け入れなければ何も変わらない。

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